商店街のこと
〇商店街のこと1
東日本大震災の経験から、私はこれからの生き方について次のようなことを学びました。個人主義が発達した現代では「他人はともかく自分だけは助かりたい」「自分の大切な人だけは助けたい」こう思うのは自然だと思います。しかし一方で私たちは、極限の状況のなか、自分を犠牲にして誰かを救った名もなき市民の逸話を数多く耳にしました。私たちひとりひとりは潜在的に自分や家族も社会の一部であることを知っています。有事において、互いに手を差し出す想いが地域の「絆」を生んだ例をたくさん目にしました。大惨事を目の当たりにして、また報道などで復興を阻む幾つもの問題があることを知るにつれ、自治体、地区、商店街、学校、檀家・氏子など、自分たちの地域はどうだろうかと、共同体のあり方についていろいろ考えさせられました。日本中、どこにも商店街はありますが、どのまちの商店街も郊外型の大規模店や大手のフランチャイズの進出や、インターネットなどの販売チャンネルの多様化に追い付かずに高齢化を迎え、衰退の道を歩んでいるように見えます。(続く)
〇商店街のこと2
しかし災害に遭ったあと、大手の大型店が同じ場所へ出店を断念する中で、石巻商店街のように地元で古くから商いをしているお店の多くは、その場所で逞しく復興を目指しました。地域にある小さな商店はみな、地域の共同体の一員として生活していて、そこで生き抜こうとする想いを持っているのです。そうした姿に全国から多くのボランティアが駆け付け、たくさんの支援活動が行われました。しがないパン屋を営んでいる私は、地元商店は地元共同体と運命をともにしているのだという想いを強くしました。 震災を通じて、もうひとつ「働く」ことの価値についても教えられました。職場となる会社や店が津波で流され、働き口を失った人がたくさんいました。人生の大半の時間を仕事中心にして生きてきた人の中には、突然仕事を失うと事実を受け入れることが出来ず、生きる意欲さえ失ってしまう人が少なくありません。震災に限らず、不況によってリストラにあってしまった人や、定年退職を迎えた人の中に身の置き場に困って同様の体験をした人もいるのではないでしょうか。 年齢や性別を問わず、社会生活を営む人間にとって「働く」ということは、とても大切なことです。(続く)
〇商店街のこと3
TV番組などで、復興へ向けて頑張る被災者の方へのインタビューの中で「何かやっているほうが、気持が前向きになり、落ち着く」というセリフを良く聞きました。私たちは働くことで自分の存在価値や生きる意欲を確かめることが出来ているのかも知れません。私たちの人生において、単におカネを稼ぐという事だけでなく、誰かの役に立つという広い意味での「しごと」を通じて、人と人のつながりを実感することがとても大切なのだと教えられました。
このように改めて商店街について考えますと、「共同体」「誰かの役に立ちたい」という切り口がわかると思います。もう少し付け加えるとすればある意味「インフラ」であると考えています。中心市街地に商店が組織立っていたものがなくなってしまうと、居住の利便性も低下します。中心市街地にはガス、下水、道路などインフラがほぼ100%整備されていますが、その維持費用も居住し使用料を払う事で贖う事が出来ます。商店街衰退→利便性低下→中心市街地活力低下→インフラ使用料減少という連鎖は避けたいものです。(続く)
〇商店街のこと4
〇商店街のこと5 ~登録有形文化財~
登録有形文化財ってご存知ですか?都市開発などで消滅が危ぶまれる近代建造物を守るため、1996年に設けられた文化財登録制度に基づいて登録されます。築後50年以上がたち、歴史的景観や造形に優れ、再現が容易でないのが選考基準。登録されると、修理のための設計監理費の補助や減税の措置が受けられます。厳しい規制がある指定文化財と違い、外観を大きく変えなければ改修や改装も認められます。東金市の中心市街地には、現在、二件の登録有形文化財がございます。現在の八鶴亭さんの建物と、前述した旧東金税務署跡です。また、専門家の見立てによると、現在の東金駅も、外壁をとれば、これらの二件と同等の価値がある建築物が現れるとのことです。
インバウンドを呼び込むのに、見てもらう文化財を見直した時に、あまりにも保護してこなかったことが新聞記事になっておりました。海外からの日本への旅行者を当初2000万人に設定ましたが、それも達成し、現在は4000万人にむけて躍動中です。タイでの日本への観光ビザ取りやすくなりました。
(ちょっと中途半端ですが続く(^-^))
〇商店街のこと6
タイでも日本への観光ビザがとり易くなってくるということです。東南アジアからの観光客がどっと増えてきます。ですが、東京、京都、北海道などの日本代表レベルの観光がある地域と競っても益はありません。この地域が狙うのは「もっと日本を知りたい」「私だけの知っている日本」というような日本への観光のリピーターなのです。そういうお客様に、この地域に滞在してよかった、また来たいという物語を提供するのです。繰り返しになりますが、この地域の外国人観光客の取り込み方としては、何回も日本に訪れる観光客に「あなただけのジャパン」を提供するのがいいと思うのです。そのためにも、東金の中で、走が根の観光素材は、外国人観光客に提供できる観光資源として昇華できるものとして意味があるのです。外国人観光客が中心市街地を訪れたとき、見るものがあっても買う、食べる場所がなければ、お金を使っていただけません。無くなってしまったものを、もう一度作り直すのは大変な労力と運が必要となってきます。そう意味で、東商連は東金の未来への推進力の一つなのです。(続く)